第17回 関係正常化を望むならオーストラリアは中国に恭順の姿勢を行動で示すべきと考える中共は西側の結束を乱したいとも狙っている

 ポイント:労働党政権になり、米豪関係に変化を期待したいところだが、外交政策の潮流が政権交代で簡単に変わるものではないことに直面し、苛立つ。正しい考えとは中国の言い分にあり、オーストラリアは丁重な姿勢を示すべきである。

 


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毅国務委員兼外相は、インドネシア・バリ島でのG20会議の傍ら、オーストラリアのペニー・ウォン外相と金曜日夜に会談した。両国外相会談は3年ぶりとなった。

 

今回の会談は、貿易相手国間で最も実質的な対話となり、両大臣はそれぞれの懸念を表明した。特に王外相はオーストラリアに対し、中国をライバルではなくパートナーとして見なし、相違点を棚上げし共通の基盤を求めるよう呼びかけたが、相違点があっても両国に共通の基盤を求めるほうが重要であり、非常に肝心であることを示している。

 

中国とオーストラリアは2014年に二国間関係を包括的戦略パートナーシップに昇格させたが、2017年から関係が悪化したため、名目だけの関係になっているのが現状だ。したがって、両大臣が戦略的位置づけを堅持することの重要性を強調したことは、中豪関係の性質が根本的に変化していないことを意味し、中国オーストラリア学会会長で華東師範大学オーストラリア研究センターの陳紅Chen Hong所長は、環球時報に次のように語った。

 

王外相は、今回の会談は関係の安定化に向けた「第一歩」であると言及した。陳は、安定化を強調するのは、過去に関係に浮き沈みがあったためと指摘。以前の中豪関係は正常ではなかったとオーストラリア側が認識しているのが感じられるし、中国への無謀かつ挑発的なレトリックは現政権下で大幅に減少している。

 

このような関係修復のシグナルは北京も評価しているが、キャンベラが「関係安定化」を図るなら、口先だけの発言でなく、現実的な動きを実行する必要がある。オーストラリア政治家は、意志レベルにとどまるだけでは不十分なのである。

 

近年、中豪関係が困難になっている根本的原因に、オーストラリア歴代政権が中国を「敵」、さらに「脅威」として扱うことに固執したことがある、と王外相は指摘し、オーストラリアの言動は「無責任」であると付け加えた。李克強首相は、アンソニー・アルバネーゼ新首相への祝賀メッセージで、双方が「過去を見直し、未来を見据える」必要性を強調した。オーストラリアは、中国に対する合理的な判断の欠如が、米国以上の過激な暴言を生み、中豪関係を自由落下的な衰退に招いているのを認識すべきだ。

 

だからこそ、王外相はキャンベラに対し、中国に合理的かつ正しい認識を持つよう促すべきである、正しい考え方があってこそ、双方は仕事を成し遂げることができる、と伝えている。陳は、アルバネーゼは就任後、外交・安全保障政策を徐々に策定・実行しているが、その過程で前政権の影響が見られ、特に「北京は自己主張が強い」「変わったのは中国だ」とする対中認識を指摘した。この認識を欧米諸国が共有しているが、豪州と米国の長年の同盟関係に加え豪州の英国圏での中核的地位が大きな要素だ。

 

アルバネーゼやウォンを含むオーストラリア労働党の政治家は、中豪関係再開の前提条件として、首相が 「関係改善」のために中国がオーストラリアに課している「制裁を取り除く」必要があると発言するなど、ワシントンの対中敵対姿勢の影響を受けずにはいられない。実際、中国はオーストラリアの一部輸出品に対して、法令に基づき反ダンピング調査を開始し、反ダンピング措置を発動した。中国がオーストラリア製品を調査することは、WTO規則に従ったものだ。オーストラリアは、自国の合理的な利益を守るため採用された中国の貿易救済措置を分析し、二重基準を放棄すべきだ。

 

オーストラリアは二国間関係を緩和する意思と姿勢を表明している。関税と貿易の重要問題について、オーストラリアのドン・ファレル貿易相は中国に「オリーブの枝を差し出し」、貿易紛争を解決するための「妥協状況」または「代替方法」が両国の協議で生まれるかもしれないと示唆している。外相会談はさらに前進し、実質的な動きが出てくると思われる。

 

この重要な時期に、オーストラリアは米国の反中戦略に従うのではなく、より賢明かつ自国の利益のために行動し、オーストラリアの最大の貿易パートナー中国との関係を本当に改善することができるはずだと、陳は述べた。■

 

Changing hostility toward China first step for Australia to improve ties - Global Times

By Global Times

Published: Jul 10, 2022 09:44 PM


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