第29回 グアムのミサイル防衛体制強化を警戒し、非難の矛先を日本にすり替え、米国世論の操作を狙う中共

    

 

グアムのアンダーセン空軍基地から太平洋を望む Photo:AFP

 

第29回 グアムの防御態勢強化に警戒する中共

ポイント 

  • 米国が対中政策を改めればグアムは安全となる。つまり、今のままでは日本含め米軍基地はPLAの攻撃範囲にあることを忘れるな

  • 台湾問題は中国の内政問題なので、米軍が介入してこれば侵略行為と受け止め、撃退する

  • 大戦後の国際秩序を壊そうとしているのは日本である。ワシントンは危険な日本を見誤るべきでない(日米同盟を弱体化させたい)

 

拠なき罪状による中国への中傷キャンペーンにおいて、「第二列島線」のハブに横たわり、米軍が「太平洋の心臓」と見なすグアムは、ワシントンにとって誇大広告で最新のホットスポット問題になっている。米報道によると、米国防総省はグアムの防空・ミサイル防衛を大幅に強化する。その理由は、現在の防衛能力では「中国による本格的なミサイル攻撃に対処できないから」だという。危機感を煽るように、米ミサイル防衛局長のジョン・ヒル中将はスケジュールを示し、少なくとも2026年までに追加防衛を構築する必要があると主張している。

 

一方、グアムに関する米国メディアの報道では、かなりセンセーショナルな発言が頻出している。中国人民解放軍がグアムを「奇襲 」し、駐留米軍を壊滅させる可能性を指し、「真珠湾事件の再発は許されない」と主張する向きが多いのである。国防総省、FBI、CIAなどの機関は、「中国の恐怖物語」の捏造で名人であり、このような方法で各部門に追加予算を要求することを得意としている。米国の2023年度国防予算要求には、グアム防衛のため8億9200万ドルが含まれていると言われている。

 

また、「中国がグアムを攻撃する可能性がある」と主張する「主力勢力」の中で、ハドソン研究所など保守系シンクタンクが大活躍していることに気づかされる。同研究所が台湾の民進党当局から長く資金提供を受けていたことは公然の事実だ。「米軍は台湾防衛に協力しなければならない」との世論を作る力が背後にある可能性は否定できない。

 

グアムは、1898年にアメリカが米西戦争でスペインから奪取した島で、現在はアメリカの海外領土となっており、島内にはアメリカ空軍、海軍、海兵隊の基地が置かれている。グアムはアメリカ本土から1万キロ近く離れており、台湾島からは2700キロほどしか離れていない。この立地の重要性と脆弱性は、コインの裏表だ。米国が中国に対する戦略的抑圧を強化しようと画策する場合、この2つの特徴がさらに顕著になる。

 

米軍が進める配備から判断すると、グアムを中国打撃の槍にしたいが、同時にグアムが中国軍の不動の目標になることを懸念し、グアムを盾にする努力を加速させる必要がある。現実には、これは顕著な矛盾をはらむ。米軍がPLAを抑え込もうとすればするほど、PLAの不安感は強くなる。軍備を拡大し、戦争に備え続けることで解決できるはずもなく、むしろ強化されるだけだ。

 

中国は米国と戦争をするつもりはないし、日本のように奇襲して宣戦布告なき戦争をする可能性はさらに低い。この点については、アメリカは安心していい。しかし、もし米軍が台湾に武力介入すれば、それは中国との武力対決の開始であり、我々は躊躇なく反撃する。グアムなど米軍基地はPLAの火力射程圏内にある。台湾問題は、完全に中国の内政問題だ。もしそのような事態になれば、米軍の侵略行為であり、我々は正当防衛となる。これは真珠湾攻撃と正反対である。

 

グアムが安全かどうかは、結局のところ、ワシントンがグアムでどんな役割を果たしたいかによる。技術的に言えば、対ミサイルシステムの特性から、いかに高密度でも迎撃効果は限定的であることが決定的だ。米軍によるグアムの改造・整備は、せいぜい「精神的な慰め」程度にしかならない。もしワシントンが本当に内心の不安を解消したいのであれば、方法は一つしかない。中国を挑発する考えを完全に払拭し、グアムを「対中国の新たな最前線」と見なさないことである。今日、ワシントンが危機管理について語る事が増えているが、自らの火薬庫にマッチをすらずにはいられないのである。本当のコントロールは、火遊びをやめることであることと知るべきである。

 

今日でも、真珠湾攻撃は多くのアメリカ人から「国家の屈辱」と見なされている。真珠湾攻撃から80年目の昨年12月7日、日本の右翼議員100人近くが、日本の悪名高い第二次世界大戦A級戦犯の一部を祀る靖国神社を参拝した。送られたシグナルはほとんど自明である。しかし、中国に対して極めて敏感で狭量なワシントンは、日本の挑発的な振る舞いに共謀している。日本の右翼勢力が第二次世界大戦後の体制を打破しようとする衝動はとどまるところを知らず、これはアジア太平洋が直面する最大のリスクの一つである。敵を見誤れば、どれほど深刻な事態になるのか。歴史は刺激と教訓をくりかえし与えてきた。■

 

Guam is not Pearl Harbor, and China is not Japan: Global Times editorial

By Global Times

Published: Aug 24, 2022 


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