第63回 マニラ湾埋立工事をめぐり中国企業締め出しを画策する米国の動きを「内政干渉」、制裁を各国に強いる米国の動きを「不当」とする中共

 第63回 マニラ湾埋立事業に中国大手建設企業が参画していることから米国による「干渉」が入ったことに反発する中共。米国による制裁は国際法に準拠しておらず不法だと主張するが、同じフィリピンと争った国際仲裁法廷の結論は無視する考え方は矛盾しているのでは。


ご注意 以下は中共のプロパガンダ機関環球時報英語版の論説記事を翻訳したものです。文中の意見は当ブログのものではありません。


文中の は当ブログがつけたものです。



比アメリカ大使館はマニラ湾で進行中の建設プロジェクトについてフィリピン政府関係者と「協議」したこと、プロジェクトやその他の建設活動が「環境に長期的かつ不可逆的な悪影響を及ぼす可能性がある」ことについて、米国政府が比政府に「懸念」を表明したと認めた。単刀直入に言えば、フィリピンにプロジェクトを中止させようとした。



このような行動は言語道断で、アメリカがフィリピンの内政に干渉し、無節操になっている事実の反映だ。マニラ湾はフィリピンの中央部に位置する。首都マニラの西に位置する天然の港であり、有名な観光地である。フィリピンはマニラ湾の巨大プロジェクトを重要視し、地域の経済・社会の発展につながる期待があるのが理解できる。自国の国家資源をどのように開発し、保護するかはフィリピン政府の内政問題であり、環境を含む様々な要素の評価はフィリピンにしかできない。それがアメリカと何の関係があるのか?マニラは承認を得るためにワシントンに報告する必要があるのか?


いわゆる環境への影響は、言い訳にすぎない。もしアメリカが本当に彼らのことを気にかけているのなら、日本が核で汚染された廃水を強制的に投棄するのを阻止すべきだった。それは確かに「不可逆的な環境影響」をもたらし、長年にわたって太平洋全体に影響を与えるだろう。しかし、アメリカは日本の決定にゴーサインを出し、お墨付きを与えただけでなく、日本が世界中でロビー活動を行うのを手助けした。マニラ湾プロジェクトはフィリピン国外の関係者を巻き込むものではないし、環境への影響を本当に心配しているのはフィリピン国民であり、彼らはあらゆる面で評価し、基準が満たされていることを確認するために良い仕事をするだろうという事実は言うまでもない。



そこでマニラ湾のプロジェクトをめぐるワシントンの真意が明らかになった。米国がこれらの建設プロジェクトを特別視する理由は、うち2つのプロジェクトが、中国港湾工程有限公司中国第一高速工程有限公司(いずれも中国通信建設有限公司(CCCC)傘下)によって、フィリピン企業やマニラ市政府と実施されているからだ。CCCCは数年前、アメリカから違法な制裁を受けた。フィリピンのフランシス・エスクデロ上院議員は、「アメリカ(米国)がある企業をブラックリストに載せたからといって、我々も自動的にブラックリストに載せなければならないということにはならない」と指摘した。アメリカとの間にそのような条約があるのだろうか?


アメリカ大使館はフィリピンをハワイと同列で考えているのだろう。フィリピンの主権やフィリピン国民の感情などまったく無視し、気に入らない要素はすべて排除したいのだろう。これはむき出しのいじめの論理だ。データによれば、近年、米商務省による輸出管理措置の件数は、「事業者リスト」を含め、年平均1700~1800件である。世界中にアメリカの制裁の犠牲者がいるが、これはまったく理不尽なことである。アメリカによる一方的な制裁は、国内法に基づくものであり、国連安全保障理事会の承認を得ていない。アメリカの利己主義と利益を保護するものであり、国際法に従って他国を法的に拘束するものではない。


アメリカは、誰も自分たちを管理できないと確信しているため、一方的な制裁を抑制できず、国際的な不満を引き起こしている。それどころか、制裁をエスカレートさせようとしている。今回のケースのように、アメリカはフィリピンなど主権国家にブラックリストの実施を求めている。これは極めて恣意的で理不尽なことであり、フィリピンにはこれを無視する権利がある。マニラは2021年に100億ドルの空港プロジェクトをCCCCに発注する決定を取り消した。フィリピン側は米国のブラックリストとは無関係だと述べたが、業界では米国からの圧力の結果との憶測が広まった。年経った今、フィリピンはこのような決定がインフラ建設のペースを遅らせ、結局はフィリピンの利益を損なうことになったと認識できるはずだ。


CCCCは2022年、Engineering News Recordによって世界第3位の建設会社に選ばれた。世界トップクラスのプロフェッショナルな能力を持ち、信頼性も高い。もしどこかの国がアメリカのブラックリストに従って自国の内政を処理することを選択すれば、その国はまず混乱に直面するだろう。第二に、その国、より具体的には自国民が損失を被ることになる。フィリピンはアメリカの同盟国だが、属国ではない。フィリピンの主権と国益に関わる問題でアメリカの圧力に立ち向かうことは必要であり、実現可能だ。一歩後退すれば、さらに後退することになる。■


US embassy probably thinks Manila Bay is Hawaii: Global Times editorial

By Global Times


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