第70回 習近平思想を盲従し、その言葉どおりに世界秩序の再構築を堂々と主張し始めたCCP

 第70回 西欧中心の価値観に反旗を翻し、CCP主導の国際秩序の確立をめざす。ただし、その出発点は習近平思想にある。国内各機関は習近平の一挙一動や発言に忖度し、正常な判断、機能を喪失しつつあるようだ。

ご注意 以下はCCPのプロパガンダ紙環球時報英語版の社説を翻訳したもので、文中の主張は当ブログのものではありません。

Photo: GT


全世界は中国のこの白書を注意深く読め: 環球時報社説



中国国務院情報弁公室は9月26日、「未来を共有するグローバル共同体:中国の提案と行動」と題する白書を発表した。習近平国家主席が「未来を共有する世界共同体」の構築を提唱し10周年を迎えたことを背景に、中国は「未来を共有する世界共同体」の理論的基礎、実践、発展を紹介し、世界のより良い未来への道を指し示した。中国から学ぼうとする発展途上国であれ、中国をより深く理解しようとする欧米諸国の個人であれ、偏った見方をせずにアプローチする限り、誰もがそこからインスピレーションを得ることができよう。


2013年、習近平国家主席は未来を共有する国際社会の構築という理念を打ち出し、すべての国が世界の平和と共通の発展のため献身すべきだと強調した。過去10年間、国際情勢は急速に変化した。グローバリゼーションのプロセスは、「デカップリング」や「スモール・ヤード、ハイ・フェンス」といった、現在の時代と矛盾する変化に直面している。ブロック対立の再燃や「新たな冷戦」の兆しは、グローバルな協力を絶えず混乱させてきた。特に近年は、「ブラック・スワン」や「グレー・サイ」のような予期せぬ事態が頻発し、多くの人々が当初予想しなかった急激な状況変化が起きている。


人類社会は今、「生きるか死ぬかの選択」に直面している。対立と分裂の悪循環に陥るのか、それとも協力とウィンウィンの道を模索し、最終的に70億人以上の人々がより良い生活を送れるようになるのか。全世界が答えを求めている。このことはまた、未来を共有するグローバル・コミュニティというコンセプトが、非常に先見的で未来志向であることを裏付けている。


大げさではなく、白書は、全人類の運命に関わるテーマと同様に、歴史的かつ世界的な意義を持つ文書であると言える。中国が提案したものだが、中国だけのものではない。この白書は、人類の未来に関して時代が提起した問題に対する厳粛で深遠な答えを提供するものであり、中国が世界に提供する決定的に重要なグローバル公共財である。


白書は約22,000語で構成され、その重みを考えれば比較的簡潔だ。その言葉は非常に凝縮され、的確で生き生きとしている。深遠なテーマを論じているにもかかわらず、非常に読みやすく、理解しやすい。私たちは、国籍や民族を問わず、人類の運命に関心を持つ人々が時間をかけて原文を読むことを強く勧める。


米国を含む西側諸国に対し、偏見や利己主義を捨て、視野を開くよう強く求める。未来を共有する地球共同体の枠組みの中で協力し、すべての国との共通の繁栄と調和を目指すべきである。望むと望まざるとにかかわらず、世界は新しい解決策を、あるいは複数の解決策を必要としている。


実際、中国が10年前に「未来を共有する世界共同体」の概念を提唱して以来、6年連続で国連総会決議に盛り込まれ、上海協力機構やBRICSなどの多国間メカニズムの決議や宣言にも盛り込まれている。国際社会、とりわけ発展途上国の理解と支持を得ている。しかし、米国などの先進国の警戒心や抵抗、さらには妨害を呼び起こし、未来を共有する国際社会の構築で最大の障害となっている。


西側の政治エリートが傲慢さを捨て、中国の声に注意深く耳を傾ければ、「未来を共有する世界共同体」のコンセプトが、西側への挑戦や対抗を意図したものではないことに気づくだろう。この「共同体」には、西側先進国の参加と協力も含まれている。国の規模や貧富の差に関係なく、いかなる国も、あるいは個人さえも排除されることはない。より良い世界を目指すビジョンには、西側諸国の人々の幸福も含まれている。したがって、先進国であろうと発展途上国であろうと、平和と発展という共通の大義に貢献しなければならない。


今日の世界は、各国が運命を共にする船に乗り、未来を共有する共同体だ。小さな船では風と波に耐えられない。荒波に耐えられるのは巨大な船だけだ。いかに強大な国であっても、単独で世界を支配できず、グローバルな協力関係を築かなければならない。


白書が言うように、これは統合された世界である。この世界に背を向ける者は、この世界で居場所を失うだろう。そのような世界では、未来を共有するグローバル共同体というコンセプトが示す実際的な偉大さのように、時間を超越した真の力が、静かで繊細なアイデアに秘められているのである。■


The entire world should carefully read this white paper from China: Global Times editorial

By Global Times

Published: Sep 26, 2023 11:50 PM Updated: Sep 26, 2023 11:38 PM


Comments

  1. ぼたんのちからOctober 6, 2023 at 3:08 PM

    CCP中国が、世界的に孤立し、衰退する方向に向かっている事態から目を背けようとする努力を、CCPメディアには課されているのだろう。
    この記事の「平和と発展」を乱す要因の多くが、CCP中国と、その友邦のロシアからのものである。中露は恣意的な問題行動が多過ぎる。その結果、世界は、かつての冷戦のような世界を二分する状況に陥り始めている。
    しかし、米ソ対立の冷戦は40年ほど続いたが、今回の冷戦は、10年も続かないかもしれない。それは中露共に政治、経済に大きな問題を抱えているからである。このような国家に学ぶことは、独裁方法だけだろう。
    CCP中国は、習独裁が強まり、その薄っぺらな政治構造がより明確になった。ある日突然消える閣僚や軍幹部がいる政治体制なんて、そうなかなかあるものでない。ルトワックは、中国の政治は、アフリカ並み(アフリカに失礼!)と評したが、明日はどうなるか誰にもわからない。最善なのはクーデタかもしれない。
    経済は、破綻しないように必死に取り繕っている状態である。
    中国の政治も、経済も前近代的な中華帝国の色合いを強く残しているように見える。この傾向は、習が政権を担うようになって強まっている。
    CCP中国は、資本主義の衣を纏い、それによりソ連流社会主義を隠し、さらに社会主義の幻想は、中華民国ではなく、かつての中華帝国独裁の政治体制を隠している。
    現在の中国をでっち上げた毛が、共産主義を理解せず、ひたすら権謀術数を使いまわしていたことを今も引き摺っているのだ。毛が、近代的な政治・経済手法を嫌う理由がここにあり、毛を信奉する習も同じ傾向を持っていることに注意したい。
    結論として中国に学ぶことは何もなく、前近代的な残滓を払わない限り、中国のさらなる発展は無い。

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