第95回 シャングリラ対話を振り返り、中国こそ言行一致の平和の守護者であると大言壮語を展開しても何ら恥じることのない中共の思考

 




第95回 ここまで自己中心的な演説を聞いて、参列の近隣諸国の参加者は何を感じたでしょうか。アジア太平洋から米国の影響を除去したい中共の思惑はあきらかですが、近隣諸国のみなさんも一方にだけ肩入れすることの危険を知っているからこそ、中共の嘘をまにうけたふりをしているだけなのですが。

 

 

ご注意 以下は中共のプロパガンダ紙環球時報英語版の社説をそのまま翻訳したものであり、当ブログの主張や意見ではありませんが、文中の下線あるいは強調部分は当ブログによるものです。




 


中国は言行一致のアジア太平洋での平和の守護者だ 環球時報社説


中国の董軍(ドン・ジュン)国防相は6月2日、シンガポールで開催された第21回シャングリラ対話で、世界の安全保障に対する中国のアプローチについて演説した。非常に期待されていた演目で、主催者は対話のハイライトとして最終日に手配した。アジア太平洋情勢は激動中で、安全保障問題は関係者の大きな関心を集めている。アジア太平洋地域の大国中国の見解と行動は、地域情勢にとって重大な意味を持つ。一部海外メディアが董演説をシャングリラ対話の注目点のひとつに挙げたのも当然だろう。


演説を通じ董国防相が伝えたメッセージは、"平和"の一語に集約される。国防省が発表した500字を超えるスピーチ情報の中には、"平和"、"調和"、"平和は尊い"という言葉がある。これは中国の長年の立場であり、調和を追求し平和を愛するアジア太平洋地域に住む人々への回答でもある。比べてみれば、前日のロイド・オースティン米国防長官の演説では、「抑止」「戦闘」「演習」が随所に見られた。オースティンはまた、"米軍は依然として地球上で最も戦闘能力の高い軍隊だ"、"インド太平洋は依然として我々の優先的な作戦地域だ"と述べ実力行使を示唆した。一方は平和を呼びかけ、他方は戦争を呼びかける中国とアメリカ両国の国防トップのスピーチは、この地域の他の国々にどのような感情をもたらしたのだろうか?


董は演説の中で「三不」を掲げた。覇権主義やパワーポリティックスがアジア太平洋に害を与えることを許さない。また、アジア太平洋に地政学的紛争、冷戦、熱戦が持ち込まれることも許さない。また、いかなる国やいかなる勢力も、ここに戦争や混乱を引き起こすことを許さない。特定の国を挙げたわけではないが、この地域の国々は、誰がこの地域で覇権主義やパワーポリティクスを追求しているのか、誰がこの地域で戦争や混乱を引き起こそうとして狼を家に招き入れているのかをよく知っている。この3つの "許さない"の主語が "私たち"であることは特筆に値する。"私たち"は中国だけでなく、"調和を追求し、平和を愛し、独立し、自立し、厚かましくも常に支え合ってきた"アジア太平洋の人々である。


董国防相はまた、すべての国の正当な安全保障上の利益を守ること、より公正で公平な国際秩序を共同で構築すること、地域の安全保障構造を最大限に活用すること、開放的で実質的な防衛協力を推進すること、海洋安全保障協力の模範を示すこと、新興地域における安全保障ガバナンスを強化し、地域の安全保障協力で新たな進展を目指すことなど、6項目の提案を行った。これらの提案は現実的で実現可能なものであり、特に中国が提案の実施を積極的に推進する意志があることを強調している。われわれは力を誇示したり、徒党を組んだりしない。中国は常に心を開き、互恵を重視し、共通の進歩を追求してきた。


特筆すべきは、董国防相が台湾問題について話す最中に司会者から発言を遮られたことだ。董国防相は、台湾問題は中国の核心的利益問題であり、まずこの問題に答え終えなければならないと強調した。なぜ中国はこの問題を終わらせ、明確にすることにこだわるのか?それは台湾が中国の一部であり、国家主権と領土保全を守ることが中国軍の神聖な使命だからだ。外部勢力は「台湾を利用して中国を封じ込め」、中国を分裂させようとしており、台湾を戦争と混乱の危険な状況に導こうとしている。これに対し、中国人民解放軍は、祖国の統一を守るため、自らの立場を明確に表明し、覚悟を決め、断固とした行動を取らなければならない。国際社会を繰り返し混乱させようとする国もあるため、中国軍は最も明確で分かりやすい言葉で、明確なレッドラインを引いて対応しなければならないのだ。


現在のアジア太平洋地域の全体的な状況は比較的安定しているが、完全に平和とはいえない。台湾海峡と南シナ海は憂慮すべき状況だ。今年のシャングリラ対話の直前と直後に、フィリピン沿岸警備隊の巡視船が仙賓礁(別名サビナショール)のラグーン内に駐留していることや、停泊中のフィリピン軍艦船に乗ったフィリピン人要員が仁愛橋沖でパトロール中の中国沿岸警備隊に銃を向けたことが明らかになった。対話の場では、一部の国の高官が "ルール"、"抑止力"、"同盟国"について言及し続けた。現在、アジア太平洋地域には2つの安全保障コンセプトがある: ひとつは対話と交渉によって相違を解決する地域共通の安全保障であり、もうひとつは同盟を結び、軍事力を拡大し、他国を「抑止」し戦争に備えることによって達成されるいわゆる集団安全保障である。この地域のほとんどの国々は、このことをはっきりと認識している。マレーシアのマハティール・モハマド元首相は、「欧米には、平和のため戦争に備えよという考えがあるが、それは間違っている」と指摘した。戦争に備えれば戦争が確実になる」と指摘し、「抑止力による平和」の誤りを暴いた。インドネシアのプラボウォ・スビアント国防相は、「遠くの親戚より近くの隣人」と述べ、真の安全保障は近隣諸国との良好な関係から生まれることを示した。アジア太平洋地域の価値観から導き出されたこれらの洞察は、アジア太平洋地域の国々の共感を呼んでいる。


なぜアジア太平洋地域の国々は徒党を組むことを嫌うのだろうか。中国がこの地域の一員として平和的発展を一貫して追求してきたからだ。国はアジア太平洋地域の平和を積極的に提唱するだけでなく、言行一致の守護者でもある。このため、域内各国は、中国がアジア太平洋地域と世界の長期的な安定と共通の繁栄を守る旅の仲間だと信じている。■


China is guardian of peace in the Asia-Pacific who matches words with deeds: Global Times editorial

By Global Times

Published: Jun 02, 2024 11:47 PM



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