第20回 福島処理水問題への環球時報社説。まともに見える疑問提起だが、裏には日米同盟を弱体化させる意図が。国内の左翼陣営に絶対見えない隠されたメッセージで、巧みな世論工作だ。

   ポイント

1. 福島原発事故は東京電力の責任であり、同社と一体となり対処してきた日本政府の姿勢にも疑問がある。

2. 「汚染水」の海洋放出の科学的説明を日本政府は回避してきたが、地球環境への影響は深刻となる

3. 地政学上の配慮で米国が日本政府決定を許容しているのはダブルスタンダードで、中国画日本の立場ならこんな進展にはならない

 

Illustration: Chen Xia/GT

Illustration: Chen Xia/GT

 

環球時報社説 核汚染水の太平洋投棄で日本は歴史的汚点を新たに抱えることになる。

 

本の原子力規制委員会は金曜日に会合を開き、東京電力福島原発の核汚染水の海洋投棄計画を正式承認した。これは、汚染水の海洋投棄を推し進めたいとする日本の主張で重要なステップとなる。

 

これで東京電力は、福島県など自治体の同意さえ得られれば、海底トンネルなど必要な施設の建設を正式に開始できる。利害関係者や関係国際機関との十分な協議と合意なしに、日本が強引に投棄作業を開始すれば、無責任な行動の代償を必ず払うことになる。

 

福島原発事故の対応で、東京電力の信用は破綻している。東京電力の利益追求の失策がなければ、人類史上最高のレベル7という過酷事故にはならなかったはずだ。事故後、東京電力がデータ隠蔽と操作を繰り返していたと露呈した。

 

日本政府の甘えと傘の下、謝罪だけでお茶を濁すことが多かった。投棄水の正当性、データの信頼性、浄化装置の効果、環境への影響の不確かさなど、東電と日本政府は明確に発言していない。自己点検と自己修正で潜在的な危険が取り除かれると期待するのは幻想に等しい。

 

核汚染水の放出計画についても、東電と日本政府は進捗状況を極めて「控えめ」に告知している。大げさに言えば、このような態度は、卑劣な後ろめたさ、あるいは極端な利己主義の表れであり、できる限り他人の目をつぶそうとする。他人を騙せなくなれば、強引に我が道を行くだけである。

 

日本は「核汚染水を海に捨てるしかない」と繰り返し主張し、国際社会に悲壮なイメージを残そうとしている。しかし、実際には原子力科学者多数がより良い方法を提案している。海に捨てる案が一番安上がりなのだ。絶妙なエゴイストのランキングがあれば、東電と日本政府はその筆頭であろう。

 

国際社会の疑念を払拭するため、日本は「少量のトリチウムを含む汚染水は安全」と繰り返し主張してきた。菅義偉元首相がカメラの前で長い間逡巡し、ついに希釈した原発汚染水を飲む勇気がなかった光景は多くの記憶に残っている。

 

日本の政治家は、科学的に厳密な議論はおろか、政治ショーすらできない。海水で薄めれば害は減るという発言は、さらに自己欺瞞的である。なぜなら、放射性元素はいくら薄めても消えないからだ。こうした発言の裏には、全人類で損失を共有する意味が込められている。

 

福島原発の汚染水処理は、地球規模の海洋環境と環太平洋諸国の公衆衛生に関わる。決して日本の私事ではない。しかし、ワシントンが黙認、あるいは容認のシグナルを出す限り、日本がに踏み切ろうとすることに、人々は気づいている。ワシントンは、汚染水の放出場所が米国本土から遠く離れており、米国と関係がなさそうだと考え、日本と恥ずべき取引をしているのだ。日本のダンピングを容認することで、アメリカは引き換えに日本の地政学的な協力と忠誠を得ようとしている。アントニー・ブリンケン国務長官は、汚染水処理を決めた日本の「透明な努力」に感謝さえしており、事実を無視したことには唖然とさせられる。

 

このことは、米国と欧米の衝撃的なダブルスタンダードを世界に知らしめた。中国人が肉を食べるだけでも環境に害を与えていると考え、日本が原発の汚染水を太平洋に流すことは安全で責任あることと考えているのである。もし、中国で同じことが起これば、米欧の世論の唾液で太平洋の海面が1メートル上昇するだろう。

 

しかし、太平洋は日本の汚水処理場ではないし、海洋生態系は有機的な全体であるので、いったん汚染が広がれば全体に影響を及ぼす可能性がある。米国含むほとんどの国が、影響を免れることはできない。先にドイツの海洋研究機関が、福島沿岸は世界でも有数の強い海流があるため、放射性物質は流出から57日で太平洋の半分以上を汚染し、10年後には世界の海域に拡散すると指摘していた。環境保護団体グリーンピースの原子力専門家は、汚染水中の炭素14は数千年の寿命を持ち、人体のDNAを損傷する可能性があると指摘している。

 

福島原発の汚染水漏れは、人類史上最も深刻なレベルである。独立した徹底的な安全検査なしに、日本に核汚染水の太平洋放出を恣意的に決定する権利はない。日本が国際社会の懸念に目をつぶれば、福島原発の汚染水が海に流出した瞬間、新たな歴史の汚点が、それ以降、永遠に日本について回ることになる。その汚点は、太平洋全体でも洗い流すことはできない。■

 

 

Japan will have new historical stain by dumping nuclear-contaminated water in Pacific: Global Times editorial

OPINION / EDITORIAL

 

By Global Times

Published: Jul 22, 2022 11:51 PM

 



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