第13回 リムパックへの中共の見解、何を言っているのかわからない。反対のための反対か。これでは日本の某野党と同じ。

  

   

International Navy ships assemble for a photo exercise off the coast of Hawaii during the Rim of Pacific Exercise (RIMPAC) 2018, on July 26, 2018 in the Pacific Ocean. Photo: AFP

International Navy ships assemble for a photo exercise off the coast of Hawaii during the Rim of Pacific Exercise (RIMPAC) 2018, on July 26, 2018 in the Pacific Ocean. Photo: AFP

 

リムパックがアジア太平洋地域に冷戦の亡霊を呼び戻そうとしているので用心せよ

 

 

西洋でのG7やNATO首脳会議といった「外交ショー」で多忙なワシントンが、太平洋で「軍事ショー」を開始した。米国主導のリムパック(環太平洋合同演習)2022は6月29日に始まり、8月4日まで続く。今回は26カ国から計2万5000人以上が参加する世界最大の多国間海上軍事演習となり、無人システム、戦闘機、大型艦艇の配備は過去最高となったという。

 

リムパックは冷戦時代の産物で、当時の仮想敵国はソビエト連邦であった。米国の一部のメディアは、リムパックのターゲットは自明で、招待されていない中国であると述べている。多くのアメリカや西側のアナリストは、この軍事演習は中国にメッセージを送る目的があると言っている。「中国の西太平洋地域での拡張は妨害され、敗北する」というメッセージだ。おそらく彼らは、中国を抑止するため、「環太平洋」を「環中国」に改名したいのだろう。しかし、これは米国とその追随国の自己欺瞞であり、演習に参加する26カ国の集合的な態度を表すものではないことは誰もが知っていることだ。

 

演習に参加した東南アジアの軍人は、リムパックを海上でのパーティに例えた。多くの参加国の本音だろう。別の見方をすれば、パーティに参加するだけで、他国と対立・対峙するメンバーとして描かれているわけではないことを表している。多くの国が、アメリカの反中国的な行動から意識的に距離を置いていることは想像に難くない。リムパックの規模が大きくなり、参加国が増えれば増えるほど、ワシントンが期待する方向性や軍事的・政治的意義が弱まるという逆説を構成している。より茶番に近づきつつある。

 

米国がリムパックのために新たに設定した目標は、誤っている。「中国の西太平洋地域での拡大」はどこから来るのだろうか。米国が同地域への介入を強めていると見るしかない。今回、米国は南シナ海の主張国を多数招待した。南シナ海で問題を起こし、不和をもたらそうとする意図は明らかだ。しかし、「地政学的競争」の泥沼で、ワシントンについていく国はほとんどない。

 

ロシアとウクライナの紛争は、ワシントンが太平洋に手を出す口実を増やした。米海軍のプレスリリースは、今回の軍事演習が「あらゆる領域と紛争レベルにおける大国による侵略を抑止し、打ち負かす」のが目的とと公言しているが、これは東京の「今日はウクライナ、明日は台湾海峡」というレトリックをほとんど模倣したものである。しかし、ここ数年、NATOは数々の軍事演習や対露抑止を行い、矛盾を激化させただけで、誰も「怯え」させてうばう。だが台湾問題をめぐる状況は全く異なる。外部勢力がいくらハッタリをかましても、台湾海峡での彼らの思惑は、中国人民解放軍の意志と決意の前に弱い。

 

太平洋諸国の参加が多かった過去の合同演習と異なり、今回の参加26カ国のうち半数近くがNATO加盟国またはパートナー国である。NATOのアジア太平洋地域のパートナー国としてNATO首脳会議に招待されたばかりの日本と韓国は、積極的な姿勢を見せている。韓国は1990年の初参加以来最大の兵力を派遣しただけでなく、強襲揚陸艦「マラド」も投入参加させる。軽空母に改装された日本の駆逐艦「いずも」の初参加も目を引く。リムパック最大の破壊力は、地域の平和の雰囲気を毒することに反映されており、最終的な被害の程度は、米国の冷戦の喧騒へのアジア太平洋地域各国の免疫力にかかっている。

 

太平洋の水を濁すため「大国間競争」を利用したいのだが、米国の覇権力は限られているので、「一派を擁立し、他派と戦う」方法をとっているのだろう。ほとんどの国が米国に従わないと、米国の無責任な行動はより多く制約を受けることになる。そうでなければ、アジア太平洋地域だけでなく、世界の平和と発展の雰囲気さえが米国により台無しにされてしまうだろう。地域諸国、さらには国際社会は、リムパックもあわせ高い警戒体制を常に維持しなければならない。■

 

Beware, RIMPAC brings back Cold War specter to Asia-Pacific region: Global Times editorial

OPINION / EDITORIAL

By Global Times

Published: Jul 02, 2022 12:08 AM


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