第78回 米国にキッシンジャーの後継者がいないことを嘆く:環球時報社説



第78回 キッシンジャー死去を受け、中米関係を正確に理解できる=CCPの利益に通じる思考が可能な米国側人材の払底を嘆く環球時報社説。では、CCPに米国人の思考を正確に理解できる人材はいるのだろうか。これではあまりにも中国側の一方的主張で、中華思想が垣間見られると思うのだが....


ご注意 以下はCCPのプロパガンダ紙環球時報英語版の社説をご紹介するものであり、当ブログの主張意見ではありません。




2018年1月25日、米ワシントンD.C.の連邦議会議事堂で開かれた上院軍事委員会の公聴会で発言するヘンリー・キッシンジャー元米国務長官(手前)。 新華社



近平国家主席は11月30日、キッシンジャー氏の死去に関しジョー・バイデン米大統領宛の追悼メッセージで、ヘンリー・キッシンジャー元米国務長官について、世界的に著名な戦略家であり、中国人民の旧友であり、良き友人であると言及した。弔電にあるように、本人の名前は常に中米関係と結びついてきた。


100歳で伝説的な生涯を終えるにあたり、キッシンジャーが世界にもたらした考察と思索、人類の未来への展望と当惑は、中米関係と切っても切り離せない。キッシンジャーの人生経験は唯一無二で誰にも模倣不可能だが、その思想、洞察、外交実践は中米関係、とりわけ米国にとって計り知れない貴重な歴史的遺産である。米国がこの遺産をどう活用し、効果を発揮するかは不透明だが、その存在自体に価値と意義があり、米国による探求、活用を待っている。


キッシンジャーが最後に公の場に姿を現したのは10月24日、ニューヨークで開催された米中関係委員会(NCUSCR)の年次ガラディナーでの表彰だった。車椅子でキッシンジャーは、「人生の文字通り半分を米中関係に費やしてきた」と語った。そして、「米中間の平和的な関係、協力関係は、世界の平和と発展のため不可欠である......米中間の平和と発展は、それぞれの国とともに世界の利益になる」と繰り返した。これが最後の公の場でのアピールだった。緊張が高まり、中国とアメリカの対立や衝突の危険性が高まっていることを思えば、キッシンジャーの訴えは警告のように聞こえる。


中国とアメリカが対立すれば、人間社会がその結末に耐えられなくなることは誰にでもわかる。しかしワシントンには、中米関係をこの方向に押し進めようとする力がある。キッシンジャーはその並外れた知恵と冷静さで、中米関係の合理的なバランスに大きな重みを加えた。今年7月、100歳になったキッシンジャーは最後の訪中を果たした。この50年間、彼は両国を100回以上も往復し、中米間のコミュニケーションを促進し、相違点を埋めるかけがえのない役割を果たした。彼の死は、間違いなく中米関係にとって甚大な損失である。中米間に「次のキッシンジャー」が現れるかどうかという問題も、複雑な感情を抱かせる。


中米関係の正常化でのキッシンジャーの歴史的な貢献は、中米関係の発展における驚くべき成果で絶えず実証され、確認されてきた。それは両国に利益をもたらし、世界を変えた。国務長官の職を離れた後も、キッシンジャーは国際政治、特に中米関係に対する大きな情熱、好奇心、責任感を持ち続けた。彼は中国を訪れるといつも新しい洞察を得ると述べ、中国のあらゆる世代の指導者を理解する専門知識を持っていると主張した。また、中国のイデオロギーや中国人にも強い関心を持っていた。これらはすべて、中米関係にとって重要な意味を持つものだ。


現在の中米関係で最大の問題は、ワシントンの中国認識の大きな乖離にある。米国の対中政策に影響力を与える専門家の多くは、中国の歴史、文化、そして中国人民が選んだ道への関心と敬意を欠いている。彼らはまた、冷戦初期の中米対立の時代の教訓から学んでいない。そのため、中国の対外行動を正確に理解し予測することができず、米国の政策立案者の対中政策決定過程における近視眼的な考えを修正することができない。このような状況で、キッシンジャーの知恵と冷静さが一層際立つようになっていた。粘り強く中米対話を提唱し、積極的に両国間の意思疎通と交流を推進することで、キッシンジャーの影響力と貢献は、最良の「キッシンジャー外交の知恵 」のあらわれだった。


中国人は、キッシンジャーがまずアメリカ人であり、アメリカの利益を断固として擁護する人物であることをよく知っている。しかし、だからといって彼を旧友であり、良き友人とみなすことを妨げるものではない。中国人は友情に高い価値を置き、この称号は心から彼に与えられている。同時に、キッシンジャーの事例は、安定した中米関係を維持することが、両国の利益を守ることと矛盾しないことも示している。特に現在の状況でも、両国の共通利益は減少しているどころか、増加している。中国と米国の協力には無限の可能性があり、相互の成功とウィンウィンの成果を達成することができる。


習主席は弔辞の中で、中国は米国と協力し、両国民の友好の大義を推進し、中米関係の健全かつ着実な発展を促進することで、両国民に利益をもたらし、世界の平和と発展に相応の貢献をする用意があると表明した。キッシンジャーのような歴史的人物に対しては、これが最高の賛辞だろう。■


May there be successors to Henry Kissinger in the US: Global Times editorial


By Global Times

Published: Dec 01, 2023 12:23 AM Updated: Dec 01, 2023 12:18 AM

キッシンジャー最後のインタビューについては航空宇宙ビジネス短信T2の記事

https://aviation-space-business.blogspot.com/

をご参照ください。

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